ただの雑記です

千三百年続く栃木県那須の温泉「鹿の湯」

2018/11/18
 
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25歳の男。宮城県出身。 大学院に進学するも一瞬で体調を崩し、以降2年ほどニートしてました。 今年から栃木県の那須塩原市にて派遣社員として働いています。 趣味は小説を読むこと、温泉巡り。 ミドリガメを飼っています。

栃木県の那須にあるめちゃくちゃ有名な温泉。その歴史は千三百年。こりゃあ入らないわけにはいかんでしょ、ということでさっそく行ってきた。

それにしても「鹿の湯」だなんて、なんてメルヘンチックな名前だろう。底知れない癒しを感じる。鹿と戯れたりできるのだろうか。鹿さんとお風呂に入ってきゃっきゃうふふ、気づいたら鹿さんのモフモフした背中に全裸でまたがって野原を駆け巡っている……自然とそんなイメージが沸き上がる。楽しそう。

行ってみた

天気がとても良かった。季節的にも紅葉真っ盛り。山の中にある温泉だけあって道中はこんな感じ。

……あんまり紅葉写ってないな。

リゾート地ですね、この辺。道路は走りやすくて良かった。

しばらく走って到着。駐車場に車を止めて建物の正面にまわる。硫黄の香りがすごい。この時点でかなりわくわくしてる。

こんな感じ。良い雰囲気。

ちなみに周辺。

2枚目の写真、これは「湯の元」を採取しているそう。採取されたものは窓口で販売もしているらしいよ。

さすがに温泉の中は撮影できないので、写真はこの辺で。

この温泉の特徴は、何と言っても入浴方法でしょう。

入浴前はかぶり湯を100~300回(!)、半身浴で長湯は避ける、というのが入浴の心得。どうやら温泉の薬分が強いらしく、入浴後に具合が悪くなる人もいるのだとか。そんなの聞いたことない!薬浴みたいなことだろうか。とにかく、長湯はだめで、入ってる時も2~3分ごとにお風呂から出たり入ったりすることが推奨されてます。

あと、体は洗えない。洗い場がないし、そもそも石鹸の使用が禁止されてる。

入浴方法が決まってるって、すごい。なんだか歴史を感じます。昔からこういう入浴方法なんだろうか。湯治にいいと言われている温泉なので、効果もとても高いんでしょうな。

お風呂は湯の温度ごとに浴槽が別れていて、下は41度、上は48度の温泉につかることができます。あっちぃ。

温泉の中には湯もみの板が置いてある。あのかき混ぜるやつ。ちょっと前は湯もみ体験もできたみたいだけど、今はどうなんだろう。壁には那須湯もみ唄の歌詞が書いてあったんだけど、「ハァードッコイショ」しか覚えてない。ハァードッコイショ!

温泉から出た後も体から硫黄のにおいがしました。いい温泉体験でした。

入浴料は、平日400円、土日祭日500円。お手軽ぅー。

 

舒明天皇の御代に開湯

冒頭でも書いたけど、「鹿の湯」という癒し満載な名前とは裏腹にこの温泉はとても歴史の長い温泉。千三百年前から続いているのだとか。

はいはい千三百年前ね、知ってるよ。あれでしょ、西暦で言えば700年ころ。納豆食うなら平城京ってやつでしょ。でも俺、水戸納豆派なんすよ。

温泉のHPを見ると、舒明天皇の御代に開湯されたといわれていると書いてある。舒明天皇の御代。ふむ、超昔ってことしかわからん。

舒明天皇とは、大化の改新の立役者である中大兄皇子の父上。自身は即位する際に、聖徳太子の息子である山背大兄皇と天皇の地位をめぐって政治的争いを演じている。この地位争い、結果として舒明天皇が皇位に就くことになるが、その裏には、当時絶大な権力を誇っていた蘇我蝦夷の糸引きがあったと言われているよう。蘇我氏にとって舒明天皇は動かしやすい人物だったということだろうか。蘇我蝦夷の権力大きすぎるあまり、舒明天皇は思うような政治ができなかった。

ってことらしい。へぇ、なるほどね。要は超昔ってことか。

「鹿の湯」名前の由来

とまぁそんな風に、都・奈良が権力争いでピリピリしている頃、栃木県那須の山中では一頭の鹿が狩野三郎行広なる猟師に追われて怪我を負っていたそうな。

「このままでは……」矢を受けた右前足は思うように動かず、捕まってしまうのは時間の問題。まさに絶体絶命。どうする鹿さん……!

考える鹿さんの頭に、突如ある考えが浮かぶ。「そうだ!あそこに行けば……!」ぱっと駆け出す鹿さん。

狩野三郎行広さん、鹿さんのこの行動に意表をつかれてしまう。「なんてこった!まだ動けたのか!」急いで後を追う狩野さん。

手負いの鹿と歴戦の猟師。しかし彼らの距離は縮まることなく、どんどん山奥へ。

ついに鹿さんを見失った狩野さん。どこに行ったのかと耳を澄ましていると、何やら茂みの向こうから音が。ちゃぷちゃぷと、まるで水が動くような音。

狩野さん、細心の注意を払って茂みからこっそり様子を伺う。が、唖然。そして思わず「ほげぇ~!!」と叫んでしまったという。

この時のことを振り返って、狩野さんは猟師仲間に次のように語っている。

「目を疑った。手負いの鹿があんな手段に打って出るなんて聞いたことがないし、思いもしなかった。癒しを必要とするのは我々(人間)だけではなかったのだ。あの瞬間から、俺は鹿をただの獣とは思えなくなった。彼らにも文化があり、生活がある。それを壊すようなことはしたくない。俺は猟師をやめる」

狩野さんが本当に猟師をやめてしまったかどうかは定かではない。とにかく、このとき彼は一体なにを見たのだろうか。

話によれば、茂みの向こうに広がっていたのは温泉だったという。このあたりに温泉が湧いているなどとは聞いたことがなかった狩野さんだったが、驚いたのはそこではない。

その温泉ではなんと、あの手負いの鹿が湯に浸かって傷を癒していたというのだ。

「鹿が湯治してる!!」

常に冷静沈着、柱に思いっきり足の小指をぶつけても黙ってこらえたと言われる狩野さんでも、この時ばかりは心から驚いたのだろう。彼の「ほげぇ~!!」はやまびことなって3里離れた集落にも届いたとか。

このできごとを境に、この温泉は「鹿の湯」と呼ばれるようになった。

 

……なんていうエピソードがあるみたい。どこまで信じるかは各々の判断に任せます。ちょっと僕の方で話を盛ってるところもある。いずれにせよ、鹿が見つけた温泉だから「鹿の湯」だなんて、風情があって良い。

まとめ

野生の鹿も傷を癒したという名湯・鹿の湯。ちょっと熱めの湯に浸かりながら、その歴史に思いを馳せるのもオツ。

ぜひ一度。

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25歳の男。宮城県出身。 大学院に進学するも一瞬で体調を崩し、以降2年ほどニートしてました。 今年から栃木県の那須塩原市にて派遣社員として働いています。 趣味は小説を読むこと、温泉巡り。 ミドリガメを飼っています。

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